先日、麻布台ヒルズのlanigiroさんでコースを頂いてきました。
tirpseの大橋さんが新しく立ち上げられたお店でテイクアウトではババやクッキー缶、ストロープワッフルなどを販売し、横に隣接するイートインスペースでは完全予約制でコースをいただけるようになっています。ポップアップに続いて早速伺ってきました。今回はノンアルコールペアリングになります。
□コンブチャトニック
食前酒代わりのウェルカムドリンクはKombucha Brewery TokyoのTSUBOMIというホーリーバジルの花穂の先端だけをつかったコンブチャを炭酸で割ったウェルカムドリンク。フルーツにも近いような爽やかさが炭酸によってより広がりが感じられるものに。
■アミューズブーシュ
□レモンスカッシュ
アミューズはフィンガーフードを4種類続けて提供。
1つ目のストロープワッフルは、お店でテイクアウト販売されているものを小さいサイズにしたもので、中はテイクアウトのものとは変えてかぼちゃとミモレットのピューレを中心にミモレットとケールソースを挟んだ食事寄りのもの。かぼちゃの優しい甘さの乗ったアミューズ。
2つ目は焼いたビーツをスライスして、ターメリックタルトの上に。フレンチマスタードとマスタードリーフ、かりんのシロップ煮をアクセントとして。全体がパリッとした食感の合わせになっていて、より味の広がりをつけるマスタードやかりんをたし、シンプルだけど要素が詰まった形に。土台もマスタードシードやビーツを使ってアミューズを想起させるようなイメージにされていますね。
3つ目はプチヴェールというケールと芽キャベツをかけあわせて作られた野菜をカカオバターで素揚げしたものに、プラリネパウダーやカカオパウダー、ヘーゼルナッツをかけて。
野菜自体はとてもシンプルな味付けですが、パリッとした食感とシンクロするようにナッツやプラリネでの香ばしいニュアンスに、カカオ系パーツの味の印象によってよりイメージが広がってくる。
4つ目は牛脂で作ったフィナンシェ。ソースは高山ニンニクにマスカルポーネとバニラを合わせたものと、黒ニンニクにビネガーシェリーを合わせたソースで牛の形を。
牛脂の感じがちゃんと感じられバターで作られたものとは明らかに違って、セイボリーっぽさが感じられる。そこに合わせた2種のソースもニンニクが強いということではないので、コクや酸味をプラスしていただける。
アミューズのペアリングはレモンやベールフルーツを漬けたシロップと三温糖を使ったスカッシュ。最初のコンブチャトニックよりも酸味の印象は強めですが、アミューズと合わせるには良さそうなものに。
■スープ
□鰹出汁と葛
蕪をローストしてカカオバターにてコンフィしたものに、フレッシュと焼いた菊を添えて。蕪の菊花餡をモチーフにした一皿で、ゆっくりローストした蕪の甘さに菊の味がアクセントとして効いてくる。
ペアリングはサイフォンで抽出した鰹出汁に葛粉で少しとろみをつけたもので、こちらも優しく鰹の風味や旨味が感じられる。
これらを最初は口内調理をして併せていただきつつ、最後はお皿に注いで一緒にいただくことでスープという意味合いが出てくる。
■冷前菜
□奶香烏龍茶
イタリアンメレンゲの上には、焼いた藁をアンフュゼして香りを抽出したものと菊芋を合わせたアイス。上にかぼちゃの種のキャラメリゼとオイルをかけて。
メレンゲもアイスも香ばしさと少し土っぽいという感じが全体的なキーとなっている印象で、かぼちゃのオイルも以外と同調するような味わいとなっていて面白い組み合わせ。イタリアンメレンゲのねっとりした感じも菊芋とシンクロしているかな。
ペアリングは奶香烏龍茶で、しっとりとミルキーさを感じられる。前菜と一緒にいただくと、より鮮明さが残るかな。
■温前菜
□日本酒
スフレパンケーキのクレープの中にコンテチーズで作ったベシャメルソースを挟み、キャビアといただくものに。組み合わせとしては間違いなく相性が良いもの同士で、特に塩味のコントラストが効いている。冷前菜と味の印象がガラッと変わる。
ペアリングは讃岐くらうでぃという日本酒をアルコールを飛ばし、ローズマリーオイルと合わせたもので、甘酒やヨーグルトにも親しいようなニュアンスもありつつ、ローズマリーの香りがデザート側のチーズなどとのコンビネーションをあわせた形に。
■メイン
□林檎とビーツ
会が始まるくらいのタイミングから焼き始めたパイはフィユタージュ・アンヴェルセで作り、中には根セロリと林檎のミルフィーユとピューレを詰め、表面の照りもビーツによるもの。ソースにはビーツリーフとリンゴジュース、根セロリを使っているそうで、煮詰めた赤ワインソースのような色合いに。
根セロリと林檎との相性が良いので甘さと酸味のバランスもいいし、パイの食感との明るい感じがあっている。そこにソースを絡めることで少しリッチな味わいとともに、味の引き締めにもなっている。
ペアリングはりんごジュースとビーツジュースに柘榴ビネガーを併せてメインの食材と同調するものに。香りはビーツ感があるけど、いただくと酸味のあるザクロやりんごのニュアンスがしっかりと入ってきつつ、油分もクリアーにしてくれる。
■アイス
□小青柑
みかんと金柑、クランベリーを使ったコンフィチュールの上にはパロサントの燻製アイス、みかんとクランベリーとカシスを使ったソースとメレンゲという構成。パロサントの明るい燻製感と柑橘の爽やかな印象が良く、デザートがスタートするという意味合いがよく現れているものに。マーブルソースの作り方が意外と凝った形でやられているなって思いました。
ペアリングは小青柑(シャオチンガン)で、プーアル茶だけどみかんの柑橘香はもちろん、味わいも紅茶などにも近いような雰囲気で、アイスと一緒にいただくことで、全体の柑橘の印象がよりスッキリと残ってくる。
■デセール
□玉露ほうじ茶
最後は意外な練り切り。白餡に白玉とココナッツの香りを移したもので練り切り餡を作り、レモンカスタードやクランブル、レモンとえごまのジャムを挟むことでレモンケーキのようなイメージに。ホワイトチョコのチュイールやエゴマパウダー、レモンとエゴマの葉と生クリームのソースと一緒にいただくものに。レモンとバター、餡の組み合わせということでレモンケーキのニュアンスは有りつつ酸味とのバランスを取っているかな。そこにえごまがレモンとは違う香りや味のアクセントにしている。
ペアリングは玉露のほうじ茶ということで、食材の中心が和テイストということもあって、日本茶にて安心感があるものに。って、これだけ写真撮り忘れてたことに気づく。
■小菓子
お店で提供されている日本酒に漬けたババに酒粕クリームを載せて。想像しているよりもスッキリした味わいになっているババと、一緒に併せた酒粕のクリームのコク深さが良い感じに合わさっていますね。
冒頭であえて「コース」という書き方をしましたが、お店の人からの質問でなんというカテゴリーで呼べば良いだろうという話が出ていて、自分的にはあえて付けるなら「トラディショナルフレンチレストラン」というような感じかなと話していました。諸説はありますがフルコースの場合、アミューズブーシュ、スープ、魚料理、ソルベ、肉料理、サラダ、チーズ、デザートという流れで出てくるので、今回のコースの提供はそれに近しい(温前菜をチーズのとこにもってきてもいいのかなと思いつつ)のと、「デザートレストラン」という括りだとデザート主体と感じる人が多くいそうな気がして、そこは本意ではないのかなと。
イメージで一番今までで近いかなと思ったのは愛知のル・デセールさんかなとも思いつつ、よりデザート側に寄った感じでしょうかね。
ということで、みなさんもこのカテゴリーが何なのかは、実際に食べてみて考えてほしいと思います。(今月から1人でも予約ができるようになったそうなので。)