9月の茶奏流水(202409@VERT)

先日、神楽坂のVERTさんで9月の茶奏流水さんをいただいてきました。

台湾のときに往訪して以来少し期間があきましたが、移転前に伺っておこうということで。

■大福 紅玉園 葡萄 自家製黒文字ヨーグルト
□令和6年 茶奏流水 丹沢合組 爽果


大福は黒文字の風味が心地よく感じられ、そこに葡萄の瑞々しい甘さがあってくる。
お茶は今年合組したものを氷出しにしたもので、柔らかい甘さと渋みが最初感じつつ、後味はスッと甘さが余韻として残る。

■東坂茶園露光 きらほし農園 高尾大根 菊 醤油

江戸時代の料理本「料理通」にも記載があるはじき葡萄というものをアレンジ。大根おろしではなく大根を米麹と蜂蜜で発酵させたものと合わせつつ、葡萄は昆布締め、醤油ジュレとマリーゴールドコンブチャのソースをかけて。大根のイメージは残しつつ、青臭い感じをなくして葡萄や菊のアクセントがおひたしなどのセイボリーさも出ている。これは結構意外性のあった組み合わせ。

■藤稔 カカオパルプ
□京都 間アールグレイ和紅茶 ピスタチオ無花果 桃


藤稔の素揚げとエスプーマに発酵させた皮の葛寄せとカカオパルプ、りんごを合わせて。葡萄のスープ仕立てにも近く、素揚げと発酵での味の印象が柔らかさから強い印象まで長く残るようなものに。
ペアリングはアールグレイにピスタチオと酵素シロップを合わせていて、紅茶の印象の後から仄かに感じるピスタチオのナッティさが素揚げともシンクロする。

■ブラックビートラベンダー
□駄農園 紅富貴 白茶


シナモンと葡萄の構成が全体でスパイスワインをいただくような感じで、アイスのストレート感にフォームと土感のあるパンナコッタでより輪郭づけをしている。
ペアリングはべにふうきの白茶をシンプルに提供して、スッキリした中に、奥から葡萄感がでてくるのでとても親和性がある。

■ブラックシャインマスカット 廣久葛本舗 本葛 ルージュロワイヤル 十字満 小豆
□吉田茶園令和6年いずみ 1st No2 トンカ豆 ジュニパーベリー


ブラックシャインマスカットの味と薔薇などを合わせたシロップの葛の香りの華やかさよくとても明るい印象。小豆と葛、葡萄との食感の違いも餡蜜のように楽しめる。
ペアリングはいずみに葡萄の枝とトンカ豆とジュニパーベリーをブレンドして、トンカ豆の香りからベリー系のふわっと感じる抜け感がデザートとマッチしている。

■甲斐ベリーひらっち農園 黄金桃
□神田茶 武市泰徳 徳島道


甲斐ベリーの葡萄感に黄金桃の乳酸発酵の甘さに、餡にいれているバジル感が意外と余韻として感じで見た目との印象が違う意外性も。
ペアリングの阿波番茶は発酵感はありつつこちらは蓬のストレートな印象も伝わってきて、これがバジルとも繋がってきて意味あるものに。

■La Piantagione Figfarm とよみつひめ&山葡萄 オッチェリ アル バローロ HERB STAND 無花果葉
□池乃屋園紅焙じ茶 コーヒー ホップ 薔薇 桜桃



八角の香りを移した発酵バターでローストした無花果と、茄子を中心としたソースにオッチェリ アル バローロをかけて。無花果の印象はありつつも発酵バターなどで少し重さも引き出しつつ、ソースでより輪郭に味の深い印象が感じられる。無花果の葉のシャーベットをいただくとよりはっきりとしてくるかな。
ペアリングは桃の木で燻製したほうじ茶を中心にホップとコーヒーを使った水出しにしていて、ほうじ茶に加えてコーヒーの香ばしい印象がデザートのローストだったりバターのニュアンスとも組み合わさる。

■シャインマスカット 辻喜抹茶あさひ ひむか農園へべす 甘酒 大葉 グリークヨーグルト
□大山茶園 露光 HERB STAND ペパーミント 桃 梨



久々のパフェ構成でクインニーナとシャインマスカットのトップはシンプルに葡萄の味を堪能するものに。中は山葵と蜂蜜のジュレやシャインマスカットと大葉のマリネ、ヘベスヨーグルトムースと香草や柑橘での爽やかさや少しキレのある印象で葡萄との味の対比がある。最後の松や甘酒を使ったブランマンジェが深緑に包みこまれるような雰囲気で、最後の抹茶ソルベ含め全体的に緑の統一感がある構成ですね。
ペアリングは露光にセミドライの桃や梨の皮、ペパーミントを使ったコンブチャとライムとバジルを合わせていて、ミントの爽やかさと桃の印象がシンクロつつ、桃が不思議とバナナっぽいニュアンスにもちょっと感じられる。

■山科茶舗サンルージュ 吉原誠人ススケヤマドリダケ 秋刀魚
□令和6年 茶奏流水 丹沢合組 爽果




ススケヤマドリダケときのこの出汁、サンルージュを合わせた秋刀魚ご飯と奈良漬という締めは秋らしい中に、果物の奈良漬などちょっと変化球も。
ペアリングは最初に提供された爽果の二煎目、三煎目のブレンドで渋みに加えて奥行きや余韻の長さも出てくるのかなと。

秋の食材を中心に幅広い調理方法を使って変化をつけた構成でもしっかりとまとまった感じで良かったと思います。11月から新店舗にて営業が始まるようでまた伺ってみたいと思います。

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