デセールコース(202505@ASAKO IWAYANAGI SALON DE THÉ)

以前は不定期に婦人画報に絡んだ提供であったり、デセールコントワールなどのイベントでの提供をされていましたが、新しい試みとしての定常的な提供の第一歩として始められました。デセールコースのチームを司るのは元Tirpse HKやLanigiroの堀内シェフが担当。

■アミューズ4品
□ゲイシャトニック





クロメスキにはインカのめざめを皮も焼いてピューレにしたものを使い、ンドゥイヤやチョリソーのペーストとディナーで使用するパンとパルメザンを衣に。コロッケと異なり生地に対して柔らかなペーストで味の入り方もコロッケとは異なりしっかり目な印象。
二十日大根はラディッシュに抹茶バターをコーティングして、野菜のエグミの部分を和らげるのと同時に味のアクセントにも。
カプレーゼはミニトマト「あまえぎみ」を使いブーラッタとともにタルト仕立てにしていて、酸味も効きすぎない程度の形で調和している。
牛脂フィナンシェはLanigiroで出されていたもので、高山にんにくのソースと黒にんにくのソースとともに。
ペアリングはゲイシャトニックで柑橘系の風味もふわっと広がりを見せるトニックに。

■ホワイトアスパラガス キャビア パロサント
□アランミリアン シャルドネと檜



オーツミルクで火入れしたホワイトアスパラハスのパンナコッタに、コンデンスミルクと茹で汁のソース、フレッシュアスパラとキャビアにパロサントオイル。
茹で汁のソースがよりアスパラの味の詰まったようなところもあり、塩味などをキャビアなど他のもので補うようなパンナコッタで、意外としっかりした食感も。ペアリングはシャルドネジュースにヒノキの香りを入れたもので、スッキリとした甘さがセイボリーの塩味との対比をしつつ、どちらも香りの木をあわせにしている。

■フォアグラ 新玉ねぎ パンデピス
□アランリミアン カベルネ



薄いパンデピスのタルトには新玉ねぎのソテーとフォアグラソテーを乗せ、PISCO PORTONに漬けたレーズンで作ったラムレーズンアイスとともに。
全体的にセイボリーの要素を纏い、その中で味や食感と温度の差をつけて口の中で感じる印象がより変化していく。パンデピスが全体を纏めて、そこにフォアグラや玉ねぎがあるようなイメージ。濃厚さのあるものとラムレーズンの相性の良さも感じられる。
ペアリングはアランリミアン カベルネにオリーブオイルと胡椒を加えていて、トマトのような野菜っぽい印象も意外と出てくるけど、飲み口はちゃんと葡萄感があり、葡萄をキーとしたペアリングに。

■根セロリ ビーツ トリュフ
□マリーゴールドスプリッツァー



パータブリゼにビーツをタルトタタンのように焼き、蜂蜜で発酵させたトリュフと根セロリにビーツとリンゴジュースを使ったソースと共に。
ビーツの味と中にいる甘さや旨味みたいなものを中心にしたタルトで、トリュフがあるとよりその印象も強まってくる。以前作られていたビーツと林檎のパイに近しい構成かな。
ペアリングはエルダーフラワーやマリーゴールドのシロップに蕪をあわせたトニックで、炭酸から蕪の印象が最初は感じつつ飲むと結構フローラルさのある形で、大地系の中で濃淡をつけているかな。

■カリフラワー ベリー

苺とラズベリーのコンポートの上にカリフラワーの泡のアイスを乗せた口直しで、カリフラワーの余韻はありつつも、輪郭となるベリーのコンポートとともによりシルキーさが出てくる。

■モリーユ茸 マッシュルーム シェリー
□浜茶



五基本味のほかにある第六の味覚「コク味」にフォーカスした一品で、アミノ酸がペプタイドに分解されメイラード反応を得ることで出てくる味わいを感じさせる。
ペドロフィネレスをソースに炒めたきのことシェリーなどをソースに。こちらを卵黄アイスを中心にいただく。添えられたきのこソテーを食べると確かにきのこ感ありつつ、全体的には煮詰めた時の「コク」という部分にフォーカスしているのがわかり、アイスとソースをいただくことでより輪郭がはっきりとしてくるかなと。
ペアリングはアサコイワヤナギ定番の浜茶で、きのこの印象に磯感もちゃんと合うものに。

■瑞季 酒粕 リオレ
□チョコ茶



バシュランはメレンゲに酒粕リオレと瑞季の果肉を。周りには文旦の皮を使ったバタークリームを使い、周りにヨーグルトと木の芽オイルを添えて。酒粕で作るリオレの発酵感と柑橘の柔らかい感じを合わせたリオレになっていて、春から初夏に向けたような感じのバシュランに。
ペアリングはオリジナルのチョコ茶ということで、カカオハスクとそば粉を使ったもの。香ばしい印象のパーツで、特に蕎麦粉の抜ける感じが明るくデザート側にない香ばしい明るさが加わる。

■〆1品
□大葉ほうじ茶



以前コースの温前菜で作られていたスフレパンケーキのクレープをよりデザート側に寄せたもので、スフレパンケーキとバナナコンポートをクレープで包み、オレンジジュースで煮てクレープシュゼット仕立てにして、最後にラム酒での香り付け。
バナナとラムが味のベースとなるような感じのシュゼットで、オレンジジュースを使うことでの酸味と明るさに少しの軽さも最初入ってきて、食べていくとバナナの味と風味の良いラムが味としてしっかりと感じられる。
ペアリングの大葉ほうじ茶は大葉の香りがふわっと入ってくる温かいお茶で、デザート側の印象をよりスッキリと。

今回は今までの経歴のベースに野菜などを使う(肉や魚は基本使わない)形で提供をされていて、Lanigiroのときにも近しいものもあったりしますが、フィードバックなどをもらいながら方向性を決めていかれるとのことでした。デセールコースとしては今月までの提供で今後はポップアップで行いつつ、ディナー営業と組み合わせてのデザート提供に変わるようで、新規のお客さんの開拓も考えられているそうです。
コロナ禍に入る前に現在お菓子教室をされているところでおそらく提供を考えていたのかなというのと、山梨の古民家に加工施設併設のレストランの構想もあったと思うのでそのあたりの展開も再始動するのかもしれないですね。

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