無花果のデザートコース(202109@Yama)
先日、恵比寿のYamaさんで無花果のデザートコースを頂いてきました。
無花果は福岡産の中でも味などの違いがあるそうで、地域も特定の場所に固定されているそうです。
葡萄はシャインマスカット、ジュエルマスカット、ヌーベルローズ、サニードルチェ、マスカットノワール。中々聞かない品種が多いですが、シャインマスカット以外は山梨県産のものとのこと。
■朝とれたての雲
宮崎産のへべすという柑橘を使ったもの。ほんのり柑橘の香りや酸味が入ってくる。
■梨と無花果の葉のソース
シナモンに似た無花果の葉の香り移したソースと純度が高い和梨のソルベ。
無花果の香りがしっかりあるソースで香りを楽しみつつ、和梨のソルベをいただくのですが、この和梨のソルベがかなり美味しい。
和梨は加工したりクリームとも合い辛く、結局生かモヒートあたりの使い方が今までの印象としてはあるのかなと思っていたんですが、滑らかさに和梨の味が非常によくのっていて、すべてが口の中でスッと溶けていきます。器や磨かれていた鏡の台とも相まって、洗練された感じでした。
個人的にはこのソルベが和梨の難しさを聞いたりしている分、一番好みだったかなと思ってます。
□コーヒー
■黒無花果
表面が焦げるまで焼いた無花果の焦げを全て除き、きな粉を入れたカスタード、黒蜜という信玄餅をモチーフにした組み合わせ。
焦げのニュアンスと黒蜜で焦げ感がなく、全体でバニラっぽい感じにも。このニュアンスに合わせるためにコーヒーとのペアリングに。
□スイスリコラミントとレモンバーベナのハーブティー
■葡萄と青柚子のグラニテ
ミントの清涼感があるハーブティーでデセールとも合わせていく形に。
デセールは青柚のグラニテの香りが最初にきて、今回用意されたそれぞれの葡萄の個性を堪能しながら、バジルのブランマンジェと合わせると爽やかで味もひろがる。
それぞれがハーブで媒介しているので、一緒に食べ進めることでより一体感のあるペアリングに。
□ほうじ茶
■秋巻き
春巻きは柿の葉に包んで食べる。揚げた後も無駄な油を落としたうえでシナモンシュガーをつけていただく。
水分を落として濃縮された無花果を貴腐ワインでマリネして青森県産のカシスと合わせているが、とても一体感があり甘さと酸味のバランスもよい。あえて、カスタードをなくすことでそれぞれの味がよりダイレクトに伝えるという狙いが、バッチリはまっている。
冷たいほうじ茶で、熱さとのバランスをとる形に。
□レモンバーベナのアンフュージョン
■白無花果とローズマリー
レモンバーベナのアンフュージョンは最初は香りを、少しとろみが出たら味わいを楽しむ形に。
白無花果にローズマリーの香りをつけ、丹波栗のピューレと赤松の香りを移したソース、フロマージュブランのアイスといただく。ほのかに口に広がる赤松の香り、そこから白無花果の良さを堪能できる。栗のピューレもフロマージュブランのアイスも、持ち味をさらに伸ばしていくものに。
全体的にあっさりさせた構成で、コースの中にも変化をつける形に。
□紅茶とレーズンのアンフュージョン
■無花果のブリュレとボルドーの赤ワインソース
チャイからミルクを抜いたイメージに近いものに、レーズンで重みをつけたアンフュージョン。
無花果に薄く塗ったカスタードをブリュレに、ロックフォールのムース、さ姫の香りを纏った無花果、ボルドーの赤ワインソース、自家製デラウェアのアイス。
ローズマリーマリネの無花果の香りや、ブリュレ、ソースとそれにも負けないロックフォールのムースも美味しく纏まっている。どこからどの組み合わせも食べても美味しくなるようにして、ペアリングで葡萄を媒介した形で、ホットワインのようなイメージができるように。
あえて、モンターニュにせずに、シフトチェンジをしている中で作られていて、その意気込みが感じられるような、完成度の組み合わせでした。
今回は無花果を中心にしつつ、原材料の見直しやシフトチェンジをさせていくために、少し構成を変えたりしていた感じですが、狙いがしっかりはまっていたように思います。これから2回ある栗も印象がガラッと変わるのかなと思い、楽しみにしています。